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東京高等裁判所 昭和55年(ラ)1177号 決定

抗告人

神保勉

右代理人

我妻隆邦

江藤洋一

相手方

右代表者・法務大臣

奥野誠亮

右指定代理人

瀬戸正義

深沢晃

主文

本件抗告を却下する。

抗告費用は、抗告人の負担とする。

理由

一当事者の申立と主張

抗告人については別紙一、相手方については別紙二のとおりである。

二当裁判所の判断

記録によれば、原決定は、本件文書提出命令の申立につき、その必要性がないとの理由でこれを却下したものであることが明らかである。

ところで、このように必要性がないとの理由で文書提出命令の申立を却下した決定に対しては、民事訴訟法三一五条の適用がなく、抗告をもつて不服を申立てることは許されないと解するのが相当である。けだし、文書提出命令の申立は、書証申出の方法としてなされるもので(同法三一一条)、当該文書が訴訟の審理に必要でないと認められるときに、その申立を却下できることはいうまでもないところ(同法二五九条)、その必要性の判断は、本案事件の審理と密接に関連し、受訴裁判所の裁量に委ねられるものであるから、その当否については、本案の審理を離れて独立の不服申立を許すのは相当でないというべく、それよりも、終局判決に対する控訴によつて控訴裁判所の判断を受ける(同法三六二条)べきものと考えられるからである。

よつて、本件抗告を不適法として却下することにし、抗告費用の負担につき民事訴訟法九五条・八九条を適用して、主文のとおり決定する。

(枇杷田泰助 野崎幸雄 佐藤邦夫)

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